topic_2016.05.19
Compact ERLで高電荷での1mA運転達成
cERLの1mA電流増強の放射線変更に関する施設検査の合格直後、図にある様に、ほぼ定格である1mA運転を2時間半に渡って保持し、ERL運転のハードウエアとハンドリングに関して大きな一歩を示すことが出来ました。
その後162.5MHz運転でバンチ電荷を6pCに上げて約1mm・mrad のエミッタンスでの運転にも成功し、その時の放射線レベル測定でも十分にビームロスを少ない状況を確認しました。このことはcERLで10mA運転も十分に可能であることを示す結果であり、もしも今年度放射線変更申請を行う事が出来れば、予定通りに10mA運転を実証することが出来る状況になって来ていることを表しています。162.5MHz運転は、導入しているレーザーコンプトン散乱の蓄積レーザーの繰り返し周波数に対応し、昨年度のレーザーコンプトン散乱強度と比較して、約6倍の増大が観測され、短い時間ではありましたが、イメージングの実験も試みました。
また、昨年度の11月末に導入した6極電磁石を用いてバンチ圧縮運転を試み、約150フェムト秒まで圧縮できていることをTHz強度測定から推定することを達成しました。さらに、昨年度夏から進めてきていた電子銃の高電圧印加の値を現在の390kVから450kVに増強しての運転を最後に試みることが出来ました。残念ながら実質的に運転調整は1日だけであったために、著しい電子ビームの向上を確認するには至りませんでしたが、電子銃単体の性能テストは引き続き今年度も継続する予定です。 以上のように、2015年度末に1月から3月までのcERLの試験運転では、『1mA運転を実証』、『5pC/バンチの電荷運転で低エミッタンス運転を実証』、『150フェムト秒のバンチ圧縮を実証』、『レーザーコンプトン散乱強度の5倍の増強』、『10mA運転の可能性を確認』という多くの加速器技術の進展を成し得ることが出来ました。これらの成果は長年弛まず、cERLの建設と立ち上げを支えたERLチームメンバーの努力の賜物であると同時に、そのアクティビティーを支えて頂いた関係の皆様方のお力添いによるものであり、深く感謝いたします。 |
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