ERLの研究・開発
次世代の光源加速器ERLの実現には、開発しなければいけない技術がたくさんあります。そのためにKEKでは小型のERL加速器をつくることから最初の一歩を踏み出しました。X線領域の光を発生するには30億電子ボルト(3GeV)クラスのエネルギーが必要ですが、このERL実証機「コンパクトERL(cERL)」は3500万〜2億電子ボルト(35〜200MeV)程度のエネルギーのものです。2013年春の入射部の試運転、12月からのビーム周回の立上げ運転を経て、2014年春、エネルギー回収運転に成功しました。その後は、ビームの輝度、強度の増大が図られ、順調に成果を上げています。また、レーザーコンプトン散乱(LCS)用のビームラインが建設され、2015年3月にはLCSX線の観測に成功しています。
cERL加速器室
〜を収納するcERL加速器室(放射線シールド)です。横壁1.5m、天井1mのコンクリートブロックから成っています。
主リニアック用超伝導加速空洞
ERLの主加速部は「エネルギー回収」という役割を果たす心臓部です。2010年秋には25MV/Mの加速購買を達成しました。2012年冬には、cERLで加速空洞を2台収容したクライオモジュールのパワーテストを終了。2014年春にエネルギー回収に成功しました。
ヘリウム冷凍機システム
周回部
2013年春、電子ビームを周回させるためのマグネットが設置され、cERLの周回運転が可能になった。
施設について
ERL開発棟(旧 東カウンターホール)
ERL開発棟は、以前は東カウンターホールと呼ばれていました。2008年から、以前の研究終了後に残されていたブロック資材や機器の撤去作業を始め、2009年度夏に建物の改修が完了しました。ERL開発棟に生まれ変わった建物には、準備室や会議室などの周辺施設も整備され、cERLのコンポーネントが順次設置されています。また、準備室や会議室などの周辺施設も整備されています。放射線遮蔽用のコンクリートブロックの設置が完了し、2012年12月の超伝導加速空洞の大電力試験を始め、4月の運転開始に向けた準備が行われています。
東カウンターホールからERL開発棟へ移り変わる様子
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設計研究書・報告書
コンパクトERLの設計研究(KEK Report 2007-7)
コンパクトERLの設計研究について記したものです。コンパクトERLを構成する加速器要素に必要な使用とそれを実現するための研究開発の進め方、低エミッタンス大電流の電子ビームを発生し、安定に加速するために考慮すべきビームダイナミックスの諸問題とその解決への道筋をまとました。さらに、コンパクトERLでテラヘルツ光、レーザコンプトンX線を発生した時の、光源としての仕様を明らかにしました。
ERL Concepturl Design Report(KEK Report 2012-4)
3GeVクラスのERLの実現に向けての概念設計報告書で
3GeVERLの新展開、必要性、実地可能な手法、ERLで展開されるであろうサイエンスケースやその取組みに関してまとめました。また、実証器として研究開発が進んでいるコンパクトERLで明らかになりつつある諸問題、その解決に向けての開発・研究法を探ります。
(2003年3月出版)
放射光将来計画検討資料2004(緑本)−今後の将来計画検討のために− (2005年3月出版)