PFリング直線部増強計画に伴うビームラインの改編・統廃合について6  

2009年2月


 

 2008年4月の前回のお知らせ以後も、ビームラインの改編、統廃合が進められています。これらの作業の進捗状況を含めて報告します。計画が固まる前にユーザーの方々に情報を流して、議論を行うようPF懇談会からも要請されていますので、未だ十分に固まっていない計画についても記します。

● 基本方針
 PFでは2005年に行ったリングの直線部増強改造を生かし、PF(2.5GeV)リングにある挿入光源を設置できる7本の5〜9m級の中長直線部の内 BL-5、14を除く5本をVUV・SX専用とする整備を進めています。ここでは従来、MPWを光源とするX線利用研究と相乗りであった問題を解決し、実験目的に適した実験ステーションの整備を目標としています。このためには、MPWを利用していたX線のアクティビティをPF-ARの直線部や、新たに生まれた4本の短直線部のアンジュレーター光利用に移設することが必要であり、X線・軟X線領域の研究展開のためにもこれらのビームライン整備を進めています。これらに関連する偏向電磁石を光源とするビームラインの移設等も進めています。同時に、2006年の国際外部評価でも指摘を受けた、職員数と比較して多すぎるビームラインの統廃合を進めています。

● BL-16の立ち上げ状況
 2008年春の停止期間中にApple-II型のアンジュレーターおよびキッカー系の設置作業が行われ、2008年秋より、円偏光を用いた共同利用実験が開始されています。その他の偏光モードについても順次整備を進めています。より詳細な情報は
http://pfwww.kek.jp/users_info/station_spec/bl16/bl16a.htmlをご参照下さい。

● ターゲットタンパクプロジェクトによるBL-1の建設
 ターゲットタンパクプロジェクトにより、BL-1にShort Gap Undulator(SGU)を光源とし、重原子置換することなく、イオウの異常散乱を利用して微小タンパク試料を測定対象とする高性能の構造解析用ビームラインの建設提案が2007年7月の放射光戦略ワーキンググループで認められ、その建設準備が進められています。
この計画と干渉する、BL-1Bについては2008年夏にBL-8Bへ移設し、11月中旬より共同利用を開始しています。BL-1Aについては2008年末で閉鎖し、現在移設作業を進めています。 BL-1Cは1990年後半に建設されたVUV-SX領域の分光ラインであり、移転先については、VUV-SX領域の挿入光源ビームラインの整備に目処がついた時点で再考することとなっています。

● BL-14Cの整備
 縦型超伝導ウィグラーを光源とするBL-14Cにはタンデムに二つの実験ステーションがあり、BL-14C1では位相コントラストイメージング、 14C2では高圧プレスMAX-IIIを用いた回折実験が行われています。分離型干渉計を用いる位相コントラストイメージングは非常に繊細な実験装置ですが、BL-14C2で実験する時や14C1で別のイメージング実験を行う時は撤去することが必要でした。
 縦偏光の特徴を活かし、(分離型干渉計を用いない)位相コントラストイメージングと分離型干渉計をタンデム二配置し、繊細な分離型干渉計を常設とする計画です。この作業は2009年夏に予定されています。
 この作業に絡み、これまでBL-14C2を使用していた大型プレスMAX-IIIはPF-AR北東棟に新たに建設するNE7に移設します。NE7は検出器校正用の内部標的ビームラインとして素核研によって建設されましたが、PF懇談会およびコミュニティの強い要望に依り、2008年夏にPFに譲渡されました。

● PF-ARのNE棟実験ホールの整備
 PF-ARの北東棟では2008年春から夏にかけて大規模なビームライン建設作業が進められました。同時に宿願であったエレベータの建設も行われました。
まず、NE1ではレーザー加熱高温・高圧X線回折実験のアクティビティ用のビームラインが建設され、光学系の調整作業が進められています。ここにはこれまでBL-13Aに設置されていたレーザー加熱高温・高圧下X線回折実験装置が2009年春に移設されます。これはBL-13をアンジュレーター利用専用化するための準備作業の一つです。また、新NE1では高温・高圧の回折だけでなく、同条件下での核共鳴実験も行なう計画で、準備が進められています。

 製薬会社からタンパク質の構造解析用ビームライン建設提案を受け、AR-NE3に新ビームラインの建設が行われ、予備的な実験が開始されています。2009年4月からは本格的な利用が開始されます。

  NE5Aは主に医学イメージングの基礎実験に利用されてきましたが、新AR-NE3建設作業と干渉し、また更なる展開を図るためにNE5Bと共に2008 年3月で閉鎖しました。NE5Aのアクティビティは、新規に建設される予定のAR-NE7およびBL-14C1に移していくことが考えられています。NE7では上述の様にBL-14C2で行われていた大型プレスMAX-IIIを用いた高圧研究も行われます。

● BL-13の整備
BL-13は、中長直線部の一つであり、VUV-SX域の放射光を用いた有機機能性物質研究用のビームラインとして整備を進めています。2009年夏の停止期間中に新しいビームラインの設置を行い、秋から調整作業を開始する予定です。
 新ビームラインの建設に関係して、BL-13Aは上述の様にPF-ARのNE1へ移設を進めています。BL-13Bで行われていたXAFS実験については、既存のXAFS実験ステーションで対応します。また、BL-13Cで行われてきたVUV-SX域の研究は新BL-13や既存ビームラインを用いて発展されます。


<<ビームラインの改編・統廃合に関するこれまでのお知らせ>>

2008年4月 お知らせ5

2007年9月 お知らせ4

2007年2月 お知らせ3

2006年7月 お知らせ2

2005年6月 お知らせ1

<<戦略ワーキンググループ会議議事要録のページ>>

http://pfwww.kek.jp/senryaku_wg_yoroku/index.html

pfw3-admin@pfiqst.kek.jp