過去のセミナー (2007年度) 2010年度<- 2009年度<- 2008年度<- ->2006年度 ->2005年度 ->2004年度とそれ以前 |
更新日: 2010-06-18 |
放射光セミナー (物構研セミナーはこちら)
題 目
|
Current status and progress of SSRF project |
---|---|
講 師
|
Tai Renzhong (SSRF) |
日 時
|
2008年3月11日(火)16:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
The Shanghai Synchrotron Radiation Facility(SSRF), a third-generation
light source, comprises a 3.5-GeV eelctron storage ring, a full energy
booster, a 150 MeV linac, and seven beamlines in phase I of this project.
|
題 目
|
アルツハイマー病治療薬の現状と今後の展望 |
---|---|
講 師
|
杉本八郎 教授(京都大学大学院薬学研究科創薬神経科学講座) |
日 時
|
2008年2月20日(水)10:00〜 |
場 所
|
構造生物実験準備棟会議室 |
要 旨
|
アルツハイマー病治(AD)療薬としては二種類のメカニズムによるものがある。ひとつはアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用、ふたつはNMDA受容体拮抗作用に基づくものである。前者の代表的なものがドネペジルであり後者にはメマンチンがある。最近、我々はAChE阻害薬はアセチルコリンの増加作用のほかに虚血時における細胞保護作用やグルタミン酸の細胞毒性を抑制することが報告した。またアルツハイマー病の原因物質といわれるβアミロイドの細胞毒性を減少させることも知られている。ドネペジルはMild Cognitive Impairment (MCI) の状態からAChE阻害薬を処方すると投与後も効果が持続するという報告がある。早期の段階かからAChE阻害薬を処方するとさらなる効果が期待できるということと細胞保護作用との関係があるかも知れない。MCIの段階から対応はこれからの治療戦略の中心課題になると思われる。 ADの原因療法にせまる仮説としてアミロイド仮説がある。ADの患者の脳内にはβアミロイドが凝集し、それが発症の原因であるというものである。すでにこの仮説に基づいて臨床試験に入っているものがあるといわれている。アミロイド仮説に基づく創薬についても詳しく述べたい。 |
題 目
|
Status Report of Macromolecular Crystallography beamline at SSRF |
---|---|
講 師
|
Wang Qisheng, Du Guahao/ Shanghai Synchrotron Radiation Facility (SSRF) |
日 時
|
2008年2月19日(水)17:00〜18:00 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
In Sept.2006, the buildings construction is completed. The SSRF project
changes over to equipment installation and commissioning stage. The
equipment and components of Linac, booster and storage ring have been
manufactured and assembled. Before the unitary commissioning, the commissioning
of the three subsystem is progressed separately. Up to 15 Jan.2008,
the 100mA current is obtained in the storage ring. |
題 目
|
メタンやバイオマス関連物質の変換触媒の開発とEXAFSによる構造解析 |
---|---|
講 師
|
冨重圭一 准教授(筑波大学大学院数理物質科学研究科) |
日 時
|
2008年2月15日(金)16:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
メタンを水素や合成へと高速・高効率変換する触媒として、微量の貴金属で表面修飾したニッケル触媒が有効であることを見出し、その構造解析を行った。また、バイオマス関連物質のガス化や水素化分解において、金属微粒子と酸化セリウムやレニウム、モリブデンなどの相互作用が、触媒性能向上にきわめて重要であり、その界面の役割についても紹介する。 物質化学グループに関連する研究対象は極めて広範であり、それらの各分野で最先端の研究を展開している方を講師に招き、最近の研究成果を概観した上で、その分野の近未来をこれまでの放射光が果たした役割と今後の果たすべき役割の観点から展望する物質化学レクチャーシリーズの第2回である。 |
題 目
|
Tracking Photoswitching Dynamics of Molecules in Materials |
---|---|
講 師
|
Prof. Herve Cailleau |
日 時
|
2008年1月28日(月)14:00〜 |
場 所
|
4号館2階輪講室2 |
要 旨
|
Light tuning of the charge and/or spin states of molecules in a solid
material is a promising target. Contrary to dilute solutions, all the
constituent molecule in solids can be photoactive, and the medium is
not passive but active. In other words, due to cooperative intermolecular
interactions, light can induce self-amplification and self-organization
processes, offering the possibility for the material to be directed
between different electronic and structural order, a so-called photo-induced
phase transition. This opens new avenues for light-control of various
photoswitchable functions (magnetic, optical, conduction,…), with some
direct consequences for future developments communication and information
technologies.
Many of there results presented in this talk was obtained within the Non-equilibrium Dynamics ERATO/JST project.
General references |
題 目
|
Australian Synchrotron Research & the Australian Synchrotron |
---|---|
講 師
|
Prof. Richard Garrett (Facility Director, Australian Synchrotron Research Program, ANSTO) |
日 時
|
2008年1月15日(火)10:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
Australian use of synchrotron radiation research techniques has grown steadily since the early 1990’s via access to overseas facilities provided by theAustralian Synchrotron Research Program (ASRP). A fast developing and maturing synchrotron user community has grown up around the ASRP facilities at the Photon Factory, the APS and the NSRRC. The ASRP program at the Photon Factory, centered on the Australian National Beamline Facility (BL20B) has been particularly important and productive, and continues to host over 50 research groups each year. The logical next step to this successful “suitcase science” program was the construction of a synchrotron light source facility in Australia.
The Australian Synchrotron is a 3 GeV third generation facility, which
is located adjacent to Monash University in Melbourne, Victoria. The
storage ring has been operating since 2006, and the first user experiments
began in 2007. The project funding included an initial suite of nine
beamlines including dedicated Protein Crystallography, EXAFS, powder
diffraction, SAXS/WAXS, micro-beam and soft X-ray spectroscopy beamlines.
The first five beamlines were assembled in early 2007,and are now either
operational or undergoing advanced commissioning. The remaining four
beamlines are under construction and will be delivered in mid-2008. |
題 目
|
NSLS and NSLS-U Update |
---|---|
講 師
|
Prof. Chi-Chang Kao (Chair of NSLS, Brookhaven National Laboratory) |
日 時
|
2008年1月15日(火)11:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
An overview of the National Synchrotron Light Source (NSLS) facility, scientific program, and user and publication statistics will be given first. It will be followed by recent scientific highlights selected from life sciences, chemical and physical sciences as well as applied sciences; the detector and optics development effort; and the planning for the near future at the NSLS. The second part of the talk will be focused on the development of free electron laser, intense Tera-Hz radiation and ultra-fast electron diffraction at the source development laboratory of the NSLS. The third part of the talk will be focused on NSLS-II project, including the motivation and scientific goals, the current design of the storage ring, beamline planning and the status of the project.
|
題 目
|
電気化学エネルギー変換デバイス(燃料電池・電池)開発における放射光の役割と将来展望 |
---|---|
講 師
|
内本喜晴 教授(京都大学大学院人間・環境学研究科) |
日 時
|
2007年11月27日(火)16:00から17:00 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、リチウムイオン二次電池などの電気化学エネルギー変換デバイスは、燃料電池自動車、据置用発電システム、Plug-inハイブリッド自動車等の電源として、活発に研究開発が行われています。これらのデバイス用の新材料開発、反応機構の解明、劣化機構の解明には、放射光を用いた分析が強力なツールになっています。本講演では、特にXAFSを用いた研究例を紹介するとともに、今後の開発動向や、それに向けての放射光に期待する役割について紹介する。 物質化学グループに関連する研究対象は極めて広範であり、それらの各分野で最先端の研究を展開している方を講師に招き、最近の研究成果を概観した上で、その分野の近未来をこれまでの放射光が果たした役割と今後の果たすべき役割の観点から展望する物質化学レクチャーシリーズを開催する。内本教授の本セミナーはその第1回である。 |
題 目
|
NSRL XAFS station and its applications to the studies of dilute magnetic semiconductors and quantum dot |
---|---|
講 師
|
Dr. Zhiyun Pan(National Synchrotron Radiation Laboratory, University of Science and Technology of China) |
日 時
|
2007年11月12日(月)16:00から17:00 |
場 所
|
4号館2階輪講室1 |
要 旨
|
X-ray absorption fine structure (XAFS) is used to probe local structures
of condensed matters, and provides the quantitative local structural
information around an element species in a complex material. The general
performance of U7C-XAFS station of National Synchrotron Radiation Laboratory
(NSRL) will be introduced in detail. The compressively strained nature of the QDs is discussed in detail,
demonstrating that the MS-EXAFS provides detailed information on the
QDs strain and the Ge-Si mixing beyond the nearest neighbors. |
題 目
|
「Stem Cell Factor刺激前後の受容体チロシンキナーゼKITの細胞外領域の結晶構造」 |
---|---|
講 師
|
湯沢 聡 氏(Yale University School of Medicine, Department of Pharmacology) |
日 時
|
2007年10月29日(月)10:00から11:00 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
受容体チロシンキナーゼ(RPTK)は、細胞外からのシグナルを細胞内に伝える重要な働きを持つタンパク質である。RPTKは細胞外リガンド結合領域、1回膜貫通領域と細胞質内のチロシンキナーゼドメインから構成され、受容体の細胞外領域の特徴からいくつかのサブタイプに分類される。KITは3型RPTKに属し、ほかにCSF1受容体、Flt3受容体、PDGFa受容体とb受容体が含まれる。このクラスのRPTKは、5つのイムノグロブリン(Ig)様のドメインからなる細胞外領域、1回細胞膜貫通領域を介し、細胞内領域にキナーゼ活性の制御に関わる細胞膜近傍領域、キナーゼドメインをもつ。キナーゼドメインが様々な長さの挿入領域で分割されているのも、このクラスの
RPTK の大きな特徴である。 近年、KITを含むこのファミリーの細胞膜近傍領域を含むキナーゼドメインの構造が報告され、その制御機構が明らかになりつつある。一方細胞外領域の構造は未だ明らかになっていない。また、KITの機能獲得型変異が消化管間質腫瘍に関連することが知られており、分子標的薬剤のターゲットとしても注目されている。 |
題 目
|
「有機半導体のエピタキシャル成長と電子構造」 |
---|---|
講 師
|
島田 敏宏 先生(東京大学大学院理学系化学専攻准教授) |
日 時
|
2007年10月26日(金)14:00から15:00 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
有機半導体の電子構造の解明は、高性能の有機半導体の設計にきわめて重要である。高結晶性の有機半導体のキャリヤ散乱に分子間振動がかかわっていることが指摘されていたが低温での光電子分光測定に耐える導電性基板上に成長した結晶性の薄膜試料はこれまで作成が難しく、これまで分子間振動とキャリヤ散乱に関する定量的な測定はほとんどされていなかった。我々は微傾斜表面上の周期的ステップを用いて分子配向を行う手法により薄膜相ペンタセンの擬似単一配向膜の作成を行い、角度分解光電子スペクトルの温度依存性を測定した。この結果を述べるとともに有機分子薄膜のエピタキシャル成長機構に関する実験についても紹介する。 |
題 目
|
「Upgrade Plans for the Advanced Photon Source(APS)」 |
---|---|
講 師
|
Prof. J. Murray Gibson(APS/ANL・アメリカシカゴのアルゴンヌ国立研究所内にあるAdvanced Photon Sourceという6GeV放射光施設)のDirector |
日 時
|
2007年10月17日(水)14:30から15:30 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
Advanced imaging and ultrafast science are two areas of application for synchrotron radiation which demand new capabilities from storage ring sources like the APS. I will discuss our R&D plans for an Energy-Recovery LINAC upgrade to the APS, which promises to revolutionize these areas while still preserving the high average flux and multi-user capabilities of a third-generation source. |
題 目
|
「Si(100)表面の有機単層膜へのドーピング」 |
---|---|
講 師
|
吉信 淳 先生(東京大学 物性研究所) |
日 時
|
2007年9月13日(木)16:15〜17:15 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
ここ数年、シリコン表面における有機分子の吸着について、実験室的方法(STMやHREELS)および放射光分光を併用して研究を行ってきた。これまでの研究をレビューした後、エチレンで終端したSi(100)表面にF4-TCNQを吸着させ、表面ドーピングを試みた最近の研究について紹介する。実験室におけるUPSにより、F4-TCNQが直接エチレン終端面に吸着しているとき、表面からF4-TCNQに電荷移動が起り、仕事関数が最大2eV増えることが分かった。最後に、今後、放射光を用いた研究によって、これらの有機材料の物性研究をどのように発展させていけるのか、その可能性を議論したい。 |
題 目
|
「光・電子機能性有機材料の電子構造の解明と物質設計」 |
---|---|
講 師
|
金井 要(名古屋大学物質科学国際研究センター 助教) |
日 時
|
2007年7月26日(木)14:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
近年、有機ELディスプレーの実用化に代表されるように、光・電子機能性有機材料を用いた電子・情報デバイスの研究開発が盛んに行われ、従来の無機半導体デバイスには無い特性を持ったデバイスの実現が模索されている。特に、有機デバイスの高付加価値を有する機能実現のためには、より最適化された特性を有する新規材料の開発が重要な課題となっている。 |
発表資料 | PDFファイル(5.8MB) (閲覧するにはIDとパスワードが必要です。) |
題 目
|
「ERLにおける超高速レーザー技術の果たす役割について」 |
---|---|
講 師
|
板谷治郎 (独)科学技術振興機構 ERATO腰原非平衡ダイナミクスプロジェクト・研究員(グループリーダー) |
日 時
|
2007年7月25日(水)15:30〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
次世代の汎用放射光として期待されているエネルギー回収型ライナック(ERL)は、現在の放射光施設の主流である第三世代放射光のもつ性能を包含しつつ、超短パルス性や部分的な空間コヒーレンスを合わせ持つ究極的な放射光光源である。その先端的な特性ゆえに、物質科学、生命科学、レーザー科学等の多岐にわたる分野への今以上の波及が期待されている。 |
発表資料 | PDFファイル(1.3MB) |
題 目
|
Ordering of gold nanoparicles on solid surface and liquid interfaces |
---|---|
講 師
|
Prof. Milan K. Sanyal (Surface Physics Division Saha Institute of Nuclear Physics) |
日 時
|
2007年7月24日(木)15:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
We shall discuss synchrotron x-ray scattering results that help us
to understand nature of ordering of gold nanoparticles in solid surface,
liquid surface and liquid-liquid interfaces. X-ray reflectivity and
diffuse scattering results will be presented to discuss out-of-plane
and in-plane ordering. Apart from basic research these studies are important
to form compace monolayer films of nanoparticles for various applications
in nanotechnology. |
題 目
|
「単純ヘルペスウイルスの免疫回避機能」 |
---|---|
講 師
|
錫谷達夫(福島県立医科大学 微生物学講座 教授) |
日 時
|
2007年7月12日(木)11:00〜 |
場 所
|
構造生物実験準備棟会議室 |
要 旨
|
ヘルペスウイルスは70〜200個の遺伝子を持つ大型のDNAウイルスで、魚からヒトに至るすべての脊椎動物に固有のヘルペスウイルスが存在すると考えられています。このウイルスの特徴は宿主となる動物種に広く感染し、一度感染すると環状化したDNAを特定の細胞の核内に生涯にわたって存在し続けることです(潜伏感染)。 |
題 目
|
「超短パルスレーザーを用いた光伝播の時間・空間連続な動画記録と観察」 |
---|---|
講 師
|
粟辻安浩(京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科電子システム工学部門、科学技術振興機構 さきがけ 研究員) |
日 時
|
2007年7月12日(木)13:30〜(開始時間が変更になりました。) |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
本講演では,ナノ秒やフェムト秒という超短光パルスが空気中や光学媒質中を伝播する様子を時間的にも空間的にも連続な動画として記録・観察できる技術について紹介します。超短パルスレーザーを用いて光が伝播する様子を記録・観察する技術はLight-in-flight recording by holography(LIFホログラフィ)と呼ばれます。この技術について説明し,3.5ピコ秒光パルス,130フェムト秒光パルスが空気中,光学素子中を伝播する様子,集積光デバイスである集積型アレイイルミネータからフェムト秒光パルス列が発せられ伝播する様子などの動画を紹介します。この動画は,波長532nmで発振するモードロックNd;YAGピコ秒パルスレーザーと,波長720nmで発振するモードロックTi:Sapphireフェムト秒パルスレーザーを用いてホログラフィックに記録します。ホログラムの観察時には各レーザーの連続波発振の光で再生します。この技術では,空間的,時間的に連続である動画が得られます。さらに,フェムト秒光パルスが伝播する様子の3次元像の動画として記録・観察する方法,および実験結果について紹介します。 |
発表資料 | PDFファイル(515KB) (閲覧するにはIDとパスワードが必要です。閲覧されたい方は間瀬一彦(kazuhiko.mase@kek.jp)までご連絡下さい。) |
題 目
|
「高秩序有機薄膜・関連界面のエネルギーバンド構造」 |
---|---|
講 師
|
山根 宏之(名古屋大学大学院理学研究科、物質理学専攻(化学系)物性化学研究室、日本学術振興会特別研究員) |
日 時
|
2007年7月11日(水)14:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
シンクロトロン放射光を利用した角度分解紫外光電子分光法(SR-ARUPS)は、物質の光学的・電気的特性を理解する上で重要なエネルギーバンド分散を直接調べることが出来る有効な手法である。分子性固体の分野では、(i)
分子内の強い共有結合の存在に起因する分子内エネルギーバンド分散(直鎖アルカン等)や、(ii) 分子間電荷移動やカルコゲン原子の導入によって分子間相互作用を意図的に強くさせた系に対して分子間エネルギーバンド分散が報告されている。しかし、一般的な有機半導体においては、分子間相互作用は弱いvan
der Waals力によるため、そのバンド幅は非常に狭い。また、バンド分散測定に耐えうる高秩序膜の作製が困難なこともあり、有機半導体薄膜の弱い分子間π-π相互作用に起因する分子間エネルギーバンド分散の観測例は報告されていなかった。 |
発表資料 |
PDFファイル(8.8MB) (閲覧するにはIDとパスワードが必要です。) |
題 目
|
「有機半導体薄膜の弱い相互作用と電子構造:放射光利用研究への期待」 |
---|---|
講 師
|
解良 聡(千葉大学工学部、融合科学研究科) |
日 時
|
2007年6月25日(月)14:00〜 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
次世代の光・電子機能性材料として極めて注目を集めるようになった有機半導体デバイスでは、構成分子の複雑さのために基礎科学的な研究が拒まれ続けてきたが、ごく最近、高精度な光電子分光研究などによってこれまでの業界の理解を
覆す現象が報告されるようになっている。例えば、有機デバイスの基盤物理となる移動度、ドーピング、電子系熱平衡などを理解するための知見が、電子分光を通して直接的に見えてきている。しかし依然として無機半導体に比べ、その基盤物理は未開な点が多く残されている。着眼点として「揺らぎを伴った弱い分子間相互作用による集合体」が種々の現象のキーとなっていることを認識した上で現象を眺めることが重要であろう。さらにこれらの理解が将来的に、単分子デバイスやより複雑なバイオ関連分子機能の電子論的理解の突破口になると考えられていることもポイントである。 |
発表資料 |
PDFファイル(11MB) (閲覧するにはIDとパスワードが必要です。) |
題 目
|
「グラフェンの異常量子ホール効果」 |
---|---|
講 師
|
初貝安弘(筑波大学数理物質化学研究科物理学系教授) |
日 時
|
2007年6月15日(金)15:00〜17:00 |
場 所
|
4号館2階輪講室1 |
要 旨
|
単層系としてのグラフェンは近年実験的に合成された[1]のをきっかけに理論実験の両面から多くの興味を集めている。特にそのエネルギーバンドは状態密度が線形に消失するいわゆる「ゼロギャップ半導体」をつくり光学的特性をはじめとして電子論的にも特異なものとなる。理論的には、この系では通常の有効質量近似は破綻し、そのフェルミエネルギー近傍の低エネルギーの有効理論は2次元Diracフェルミオンにより記述されることとなる。 [1] Novoselov et al, Nature 438, 197-200(2005) |
題 目
|
「ERL実証機を利用したレーザーコンプトンX線光源の可能性」 1.レーザーコンプトンX線光源の原理と性能の試算 2.レーザーコンプトンX線光源を用いたフェムト秒時間分解X線研究の可能性 3.レーザーコンプトンX線光源を用いた医学イメージング研究の可能性 |
---|---|
講 師
|
1.小早川 久(KEK 名誉教授) 2.足立 伸一(KEK PF) 3.兵藤 一行(KEK PF) |
日 時
|
2007年5月29日(火)13:30〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
KEKのERL実証機計画では超伝導キャビティーを採用し、60MeV程度の電子加速を想定している。この電子に対して可視域のフェムト秒レーザーを衝突させると、逆コンプトン効果によりフェムト秒幅のパルスX線が発生する。ERL実証機は超伝導キャビティーをビーム加速に用いるため、パルスレーザーの高繰り返しに同期したX線の発生が可能となり、従来の線形加速器を用いたレーザーコンプトン光源に比べて単位時間当たりの平均X線光子数を3桁以上向上させることができると期待される。本セミナーでは、レーザーコンプトン光源の原理を紹介し、この光源を利用したサブピコ秒時間分解実験および医学イメージングの可能性について議論する。 |
発表資料 (PDF) |
コンパクトERL イントロダクション |
題 目
|
「NTT−ATにおけるX線光学素子開発」 |
---|---|
講 師
|
竹中 久貴(NTT−AT) |
日 時
|
2007年5月25日(金)15:30〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
X線集光に使用される多層膜ミラーの製造方法・反射特性例・多層膜ミラーを利用したシュバルツシルト型集光素子,K-Bミラーやフレネルゾーンプレートの利点・問題点,これらの素子を利用した装置例について説明する。また,ERLなどの光源から得られるX線マイクロビームを更に集光する素子例を紹介する。 |
発表資料 |
PDFファイル(6.2MB) |
題 目
|
「SPring-8における硬X線集光結像光学素子の現状」 |
---|---|
講 師
|
鈴木 芳生(財団法人高輝度光科学研究センター) |
日 時
|
2007年5月25日(金)14:00〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 ←場所が4号館2F輪講室1から変更になりました。 |
要 旨
|
軟X線顕微鏡ではかなり早い段階で可視光より優れた分解能が達成されていたのに対し、硬X線領域での技術開発ははるかに遅れていた。しかしながら、硬X線マイクロビーム生成技術やX線顕微鏡はここ20年で着実に進歩を続けており、最近では100nm以下の空間分解能が容易に達成出来るようになっている。光学素子としては、電子線描画フレネルゾーンプレート、非球面全反射鏡、多層膜ゾーンプレート、屈折レンズ等の多くの試みがなされているが、興味深いことにほとんどの光学系で100nm程度の分解能に達している。エネルギー領域に関しても、従来の10keV前後を主体としたものだけでなく、100keV以上の高エネルギーマイクロビームも可能になっている。 SPring-8では光学素子と光学系の技術開発だけでなく、実際のユーザー利用実験への応用も進めており、蛍光X線微量元素マッピング、μ-XAFS、μ-回折、結像マイクロCT等の多岐にわたる手法が定常的にユーザー利用として行われている。ここでは、X線マイクロビーム及び結像光学系の開発状況を報告し、(可能であれば)応用展開を含めた今後の見通しについても言及したい。 |
発表資料 | PDFファイル(14MB) |
題 目
|
「硬X線ナノビームの形成」 |
---|---|
講 師
|
山内 和人(大阪大学) |
日 時
|
2007年5月21日(月)14:00〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
放射光ベースの硬X線光源(エネルギー:15keV〜20keV)をK・Bミラー光学系を用い、Sub-50nm(36nm×48nm、25nm×30nm etc.)集光することに成功した。本成果について、幾つかのキー技術に触れながら、紹介する。また、現在精力的に進めているミラー光学系による「硬X線のSub-10nmビーム形成と顕微鏡システムの構築」について、その研究戦略と現状での成果について紹介する。ここでは、ビームウエスト領域において、波動の干渉にもとづく強度分布を精密計測し、その強度情報からの位相回復によって波面誤差情報を抽出することに成功したので、そのことを中心に紹介する。 |
題 目
|
「傾斜角積分法による非球面ミラーの計測」 |
---|---|
講 師
|
東 保男(KEK・機械工学センター) |
日 時
|
2007年5月21日(月)15:30〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
放射光用全反射集光ミラーの精密な形状計測法として、干渉計やLong Trace Profiler (LTP)などが開発されている。しかしながら、これら既存の計測装置では、非球面形状や1m以上の大型ミラーの形状を高精度 で計測することは困難であると思われる。そこで本研究では、トロイダル形状のような非球面や、1m以上の巨大ミラーのスロープエラーを0.1mradの精度で測定ができる形状計測装置の開発を行っている。本測定法は、 2軸2組の回転運動を用いてミラー上の各点での法線ベクトルを測定し、ミラー面の傾きを積分することにより形状を得る。本測定法の特徴は、参照面を用いずに、回転運動のみにより、ミラー表面のスロープをダイレクト に測定出来ることである。回転運動によってスロープの測定を行うため、ゴニオメータの回転制度が非常に重要である。本報告では、使用しているロータリーエンコーダの読み取り角度補正法と、様々なミラー形状による 測定精度の検証をおこなった結果と今後に残されている問題点について述べる。 |
発表資料 | PDFファイル(2.75MB) |
題 目
|
ERL実証機から期待されるCSRによるテラヘルツ光 |
講 師
|
原田健太郎 (KEK,PF) |
日 時
|
2007年4月25日(水)16:30から |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
発表資料
|
ERL実証機から期待されるCSRによるテラヘルツ光 前座 (PDF) |
題 目
|
テラヘルツ放射光利用の現状と大強度CSRテラヘルツ光への期待 |
講 師
|
木村真一 (分子研,UVSOR) |
日 時
|
2007年4月25日(水)16:50から |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
講演要旨
|
一般に,0.1〜100THz(3.3〜3300cm-1, 0.4meV〜400meV)をテラヘルツ領域と呼んでいる。この領域は,光と電波との境に位置しており,他の領域に比べて光源や検出器
の開発が遅れていたため,「テクノロジーギャップ」と呼ばれていた。しかしながら,格子振動や分子振動,半導体のエネルギーギャップ,伝導キャリアのプラズマ振動数,相互作用の強い系の準粒子など,物質科学の根本に関わる重要な情報を含んでいるため,古くから地道に研究が展開されてきた。そういった流れの延長上で,より先端的なテラヘルツ分光を目的としてUVSORに世界最初の共用ビームラインが出来たのは,20年以上前のことである。このビームラインの成功が発端となり,世界各地に赤外・テラヘルツビームラインが建設され,最近建設された放射光施設には,かならずといっていいほど,赤外ビームラインが設置・計画されている。これらのビームラインの主な目的は,汎用赤外分光系で用いられている黒体輻射光源に比較して桁違いに高い輝度及び強度を利用した回折限界空間分解能での分光やイメージング,極低エネルギーでの分光であり,汎用装置では困難な実験,例えば極限環境下での分光などが可能になった。 |
発表資料 | 発表プレゼン資料(PDF) |
題 目
|
Structural plasticity in the cholinesterases |
講 師
|
Prof. Israel Silman (Neurobiology Dept., Weizmann Institute of Science) |
日 時
|
2007年4月10日(木)11:00〜 |
場 所
|
高エネ研 PF研究棟2階会議室 |
講演要旨
|
Crystallographic studies on acetylcholinesterase (AChE) and butyrylcholinesterase
(BChE) revealed that both display unanticipated three-dimensional (3D)
structures for such catalytically powerful enzymes, inasmuch as in both
the entrance to the active site is along a long and narrow gorge. The
overall topography of the gorge is similar, although the number of conserved
aromatic acids lining it in BChE is smaller than in AChE, with aromatic
residues which contribute to the peripheral anionic site (PAS) being
absent in the former. Moreover, as anticipated, the dimensions of the
acyl pockets differ. |
|
松下 正教授退職記念講演会 |
---|---|
日 時
|
2008年3月14日(金)13:30〜17:00 |
場 所
|
KEK 国際交流センター 交流ラウンジ |
講演1 |
【要旨】共鳴X線散乱法では,原子吸収端近傍のエネルギーをもつX線を利用 することにより,その原子散乱因子の異常分散項により生じる回折現象
を観測する。回折と分光の両面をうまく利用した手法として,近年,強 相関電子系の研究においてよく利用されている。回折の情報より,対象 とする系の電子自由度の空間的秩序(電荷・スピン・軌道秩序)を明ら
かにすることができ,分光の情報より,その電子状態に関する知見を得 ることができる。さらにその非弾性散乱を測定することにより,電子自 由度の励起状態を捉え,系の動的秩序を研究することができるように
なってきた。本講演では,これらの手法を用いた最近の構造物性研究の 発展と,将来の展望を述べる予定である。 |
講演2
14:15〜14:50 |
【要旨】PF内に構造生物学研究とビームライン開発・建設・運営を一体的に展開するグループをつくるという松下先生の先駆的な構想により、2000年に構造生物グループが発足した。その後2003年度からは構造生物学研究センターとなり、細胞内タンパク質輸送と翻訳後修飾をターゲットとした構造・機能解析と挿入光源ビームラインの開発・建設をミッションとして活動を展開している。2002〜2006年度のタンパク3000プロジェクトでは、「翻訳後修飾と輸送」の中核機関として研究を展開しただけでなくビームタイムの30%を「個別的解析プロジェクト」研究者が使えるシステムを構築した。2007年度からの「ターゲットタンパク研究プロジェクト」においてはSPring-8や大学研究者と協力しながらマイクロフォーカスビームラインの開発を行うとともに、「小胞輸送」研究を推進している。本講演では松下先生の多大な努力により実現したPF構造生物学拠点の歴史を振り返るとともに、放射光X線による構造生物学の今後の展望について述べたい。 |
講演3
14:50〜15:25 |
【要旨】「物質の構造」と「性質(物性)」の関連の解明は、物質科学に共通する最も基本的テーマである。しかしながら、光励起状態のような高いエネルギー状態にある凝縮系物質、ましてや動的に構造が変化したり揺らいだりしているものに関しては、一部孤立分子を除くと「励起状態の物質構造の直接的観測」と「物性」という視点での研究は、今日に至るもほとんど見られないのが現状である。昨今の大型放射光光源とパルスレーザー光の組み合わせ技術の進展、高強度超短パルスレーザーによるX線発生技術の進歩、さらには高感度2次元X線検出器の導入によって、ピコ秒時間スケールはもとより、場合によってはフェムト秒スケールの構造変化を、オングストロームスケールでとらえることすら可能となってきた。この装置の建設へ向けた作業を2002にPFに認めていただき(当時の物構研副所長:松下先生の決断)、その全面的協力とJSTの援助のもと、その先駆けとなる世界で一つの恒常的観測ライン(今に至も、でも約3年先は急増しそうですが)としてAR-NW14の建設を達成する事が出来た。今年度より本格的な測定に着手し、東工大(G-)COEの協力もいただいて、多くの国際的共同研究や各国(主にヨーロッパ)の博士学生、若手PD育成もその緒に就く事ができた。本講演では、つい最近得られた、強相関系の電子秩序溶融とその回復過程、過渡的超高圧による動的相転移前駆現象の観測、機能蛋白における反応中心と周辺構造の協奏的変形の動的観測などを中心に報告する。 |
講演4
15:25〜16:00 |
【要旨】分散型XAFS法は、XAFSスペクトル全体を同時に測定することが出来る。この特徴を生かして、方位調整の難しいDAC中の試料等のXAFSやin-situ条件下の反応追跡に使われている。通常のXAFS法では1スペクトルの測定に十数分、QEXAFSでも分程度の時間がかかり、非可逆反応の追跡では様々な制約が課されるが、分散型XAFSではミリ秒オーダーでの時間分解が可能となり、このような研究に多用され、サブナノ秒の時間分解も夢でなくなってきている。時間分解XAFS実験を中心に、松下先生が開発された分散型XAFS技術とその利用研究の展開を概観する。 |
講演5
16:10〜17:00 |
【要旨】KEK-PFを退職するにあたって、これまでの研究活動を大きく三つの時期に分けてふり返ってみる。
|
題 目
|
「ミュオン触媒核融合研究の現状と展望」 |
---|---|
講 師
|
石田 勝彦(独立行政法人理化学研究所・仁科研究センター) |
日 時
|
2007年10月25日(木)16:00〜 |
場 所
|
高エネ研 4号館3階輪講室1 |
要 旨
|
負ミュオンを水素同位体標的に入射することにより、ミュオンを触媒とした核融合の促進(ミュオン触媒核融合)が起こる。我々はKEK-MSLを始めとして、現在では主に理研RALミュオン施設において物理現象の理解、核融合効率の向上を目指して研究を行ってきた。これまでα付着損失、ヘリウム3蓄積効果、標的組成効果などについてdt核融合のみならず、dd核融合、tt核融合においても新しい知見を得ている。これらの研究の現状を紹介し、展望を述べる。 |
題 目
|
「スイスライトソース構造生物学ビームラインの現状」 |
---|---|
講 師
|
富崎 孝司 博士(ポールシェーラー研究所・スイスライトソース ・ビームラインサイエンティスト) |
日 時
|
2007年8月30日(木)10:30〜11:30 |
場 所
|
PF研究棟2階会議室 |
要 旨
|
2002年の一般共用開始以来、SLSでは構造生物学的に重要な構造解析のプロ ジェクトだけではなく、たんぱく質結晶構造解析の限界を押し上げるために重要な回折 実験手法の開発を進めてきました。5ミクロンほどの微小結晶を用いた構造解析や、次世 代検出器の特徴を生かした超高速、超高精度回折データ収集が実用段階に入ったところです。 今回、いくつかの微小結晶を使用した構造解析例の紹介と、Sulfur-SAD、inverse beam geometry setting、fine-phislicingなどの有用性について、ユーザーの方々の結果も交えて紹介できればと思います。また、PSIの検出器グループが開発を進めているピクセルアレイ 型検出器、PILATUS 6Mの特徴、得られている結果などについて、紹介させていただきます。 |
題 目
|
低ドープ領域La2-xSrxCuO4における高磁場下のμSR実験 |
---|---|
講 師
|
石田憲二(京都大学 国際融合創造センター/京大院理) |
日 時
|
2007年8月7日(火)15:00〜 |
場 所
|
4号館2階輪講室1 |
要 旨
|
|
題 目
|
「BETS系2次元有機導体の磁場誘起超伝導相におけるFFLO状態とボルテックスダイナミクス」 |
---|---|
講 師
|
宇治進也(物質・材料研究機構 ナノシステム機能センター ナノ量子輸送グループ) |
日 時
|
2007年7月23日(月)10:00〜 |
場 所
|
4号館2階輪講室1 |
要 旨
|
2次有機伝導体(BETS)_2FeCl_4では20T-45Tの間で磁場誘起超伝導相が安定する。この磁場誘起超伝導相の中では、超伝導秩序変数が空間的に変調している Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov(FFLO)状態が形成されている可能性が指摘されてきた。この空間変調をボルテックスのダイナミクスの変化として捕らえた。 |
題 目
|
「2次元ハバード模型の変分モンテカルロ計算による研究 −銅酸化物の高温超伝導発現の解明を目指して−」 |
---|---|
講 師
|
山地邦彦(産業技術総合研究所) |
日 時
|
2007年6月28日(木)15:00〜 |
場 所
|
4号館2階輪講室1 |
要 旨
|
標記の目的のために、モデレートな結合定数で最適ドープの場合に変分モンテカルロ法を用いて2次元ハバード模型の超伝導凝縮エネルギーを計算して実験値と比べている。高エ研のスパコンにより可能な限り大きな格子で計算することによりバルク極限の超伝導凝縮エネルギーを求めている。銅酸化物の2次元バンドを模擬するために第2、第3のtransfer energy t'、t"を取り入れている( t"〜-t'/2)が、t'〜-0.15にSDW凝縮エネルギーが支配的なt'領域が存在する。そのプラス側近傍では妥当な大きさの超伝導凝縮エネルギーのバルク極限値が得られ、La系の超伝導が説明できる。SDW領域のマイナス側では十分大きなバルク極限値が得られず、現状ではBi系、Hg系、Tl系などの超伝導が簡単には説明できない。 |