ERLから得られる光の特徴 (2)高輝度性
ERLから得られる光のスペクトル(5GeV)
これは、以前に検討していた電子エネルギー5GeVの例です。
つぎに、ERLから得られる光のスペクトルを計算してみましょう。
下のスペクトルは、3種類のエミッタンスを用いて、ERLから得られるアンジュレータ放射光の輝度スペクトルを計算したものです。青が10pmrad、赤が100pmrad、緑が1nmradの場合で、青の10pmradの場合が、ERLで想定されている最高性能に相当します。(この計算に用いた電子ビームとアンジュレータのパラメータを、下の表に示します。)スペクトルの形状がエミッタンスに大きく依存することがお分かりいただけると思います。電子ビーム性能が光の回折限界に近づくと、アンジュレータのスペクトル形状は、本来のsinc関数の形状に近づき、その平均輝度のピーク値は、10の23乗のオーダーに近づきます。また、ERLの場合、3次光、5次光になっても、輝度がほとんど低下しないことも特徴であり、これは高エネルギーX線の利用にも有利な点です。
Parameters |
|
Energy | 5 GeV |
Ring Current | 100 mA |
beta functions (x,y) | 5 m |
K-value | 1.0 |
Energy spread | 5x10-5 |
Undulator total length | 5 m |
Undulator period length | 16 mm |
1次光のエネルギー付近を拡大してみると、以下の図のようになります。上の図が対数表示、下の図は線形表示です。下の図から、1次光の半値全幅は、25eVで、そのエネルギー分解能は、(25 eV / 8200 eV) x 100 = 0.3%です。
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