これまでのPFトピックス(2006年)

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2006.11.21
   位相差X線マイクロCTと蛍光X線マイクロCTによる低コントラスト生体微細構造の 可視化と3次元元素マッピングの試み



X線を用いた顕微鏡は、非破壊での高分解能観察が可能であり、CT技術を組み合わせることにより試料の微細構造を3次元で観察することができる。本研究では、微小な生体試料を、位相差顕微法を用いて観察し、CT再構成によってその3次元形状を得た。また、生体試料中に含まれる鉄などの比較的重い元素を、蛍光X線顕微鏡を用いて観察することで、そこに含まれる元素の特定、およびCTと組み合わせて3次元の元素マッピングを行った。

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2006.11.21
   高強度陽電子ビームを利用したポジトロニウム飛行時間分光法による先端材料ナノ空孔分析



陽電子・電子の束縛状態であるポジトロニウム (Ps) の物質表面からの放出エネルギーを調べる Ps 飛行時間 (Ps TOF) 分光法のデジタル化と同手法による空孔導入型 Low-k 薄膜のナノ空孔評価例を紹介する. Ps TOF 検出信号のデジタル処理により, スペクトルの安定性, 時間分解能, および, S/N 比の改善に成功した. この方法を Low-k 膜のナノ空孔構造分析に適用したところ, ナノ空孔連結性に関する知見を得た.

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2006.11.16
   脂質に結合しながらユビキチンを認識 〜多機能ドメインGLUE(グルー)〜



今年の初めに、ユビキチンという小さなタンパク質をめじるしとして、リサイクルすべきものと分解されるべきものの「分別」を行なうタンパク質Hrsについて紹介しました。最近、同じ研究グループが、分別に関わる別のタンパク質の立体構造をKEKフォトンファクトリーやSPring-8の放射光を用いて明らかにしました。タンパク質の分別センターである初期エンドソーム上で、大勢のタンパク質たちが働く様子の全体像が明らかになりつつあります。

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2006.11.2
   小包みを作る・荷解きをする運び屋 〜2つの仲介役と働く運び屋FIP〜



フォトンファクトリーでは、これまでにも多くの運び屋タンパク質の立体構造を明らかにしてきましたが、最近また新しい運び屋タンパク質の構造が明らかになりました。

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2006.10.31
   放射光による乳ガン診断システムが堀場雅夫賞特別賞を受賞



安藤正海名誉教授(現東京理科大学教授)が堀場雅夫賞特別賞を受賞しました。受賞テーマは、「乳ガンの早期診断を目指すシステム開発」です。

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2006.10.26
   創薬に向けたタンパク質X線結晶構造解析ビームラインの設置
   〜アステラス製薬(株)の受託研究用タンパク質X線結晶構造解析ビームライン新設を決定〜



アステラス製薬株式会社の受託研究のためのタンパク質X線結晶構造解析用ビームラインを、放射光科学研究施設に新たに設置することが決定しました。

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2006.10.3
   黄砂粒子と硫酸の化学反応を解明 〜BL-9Aを用いたイオウK吸収端XANES測定〜



広島大学大学院理学研究科の高橋嘉夫(たかはし・よしお)助教授のグループは,BL-9AにおけるイオウK吸収端XANES測定により,エアロゾル中の硫酸塩の化学種を特定し,黄砂粒子と硫酸の化学反応に関する新たな知見を得ることに成功しました。

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2006.9.20
   オーストラリアのグループがインスリン受容体の構造解析に成功 〜BL-5Aを用いた結晶構造解析〜



オーストラリアCSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research organization) のグループは,細胞表面に存在しインスリンの「受入れ窓口」であるインスリン受容体の細胞外ドメインの構造を明らかにすることに成功し,成果が2006年9月14日発行のNature誌に発表されました。

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2006.9.5
   自己組織化で作成したナノサイズのカプセルにフッ素液滴の閉じ込めに成功 〜PF-AR NW2Aにおいて構造決定〜



東京大学の藤田誠(ふじた・まこと)教授,河野正規(かわの・まさき)助教授,東京工業大学の尾関智二(おぜき・ともじ)助教授らの研究グループは,自己組織化で構築したカプセル状の有機金属化合物内に、フッ素性液滴を閉じ込めることに成功しました。このカプセル状化合物の構造はPF-AR NW2AにおいてX線結晶構造解析によって決定され、大きさや構造にばらつきのない精密に制御された構造を持つことが明らかになりました。

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2006.8.25
   多電子同時計測手法を用いて内殻外殻光二重イオン化過程の直接観察に成功



分子科学研究所の彦坂泰正助手(元放射光科学研究施設研究機関研究員)とKEK物質構造科学研究所の伊藤健二助教授は、繁政英治助教授(分子科学研究所)、仏国 CNRSのPascal LablanquieおよびFrancis Penent研究員と共同で開発した多電子同時計測手法により、原子や分子の特殊な光二重イオン化過程である内殻外殻二重イオン化過程の直接的観測に初めて成功しました。 実験はPF-AR NE1Bで行われました。

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2006.8.21
   ヒストン修飾酵素Peptidylarginine deiminase 4(PAD4)の活性化とヒストン認識


Peptidylarginine deiminase(PAD)はCa2+依存的にタンパク質のアルギニン残基を脱イミノ化してシトルリン残基するタンパク質修飾酵素である. PADはこれまでに5種類のアイソフォーム(PAD1-4, PAD6)が同定されているが, その中で唯一PAD4のみが細胞の核内に存在してヒストンのアルギニン残基のシトルリン化に関与している. PAD4によるヒストンのシトルリン化はメチル化と拮抗して真核生物の遺伝子発現を調節している. 一方で, タンパク質のシトルリン化は関節リウマチとも深く関連し, PAD4の活性阻害剤は慢性関節リウマチの根本的な治療薬になるものと期待されている. 本稿ではCa2+非結合型PAD4, Ca2+結合型PAD4, Ca2+結合型PAD4−基質複合体の構造を決定し, 3者の構造比較から新規の酵素活性化機構を紹介するとともに, ヒストンペプチドとの複合体の構造解析から得られた数多くの新規のヒストン認識に関する構造科学的な知見も紹介する. これらは真核生物の転写研究に大いに役立つとともに, 関節リウマチの新規薬剤の開発に必要なPAD4の阻害剤候補物質の設計にもたいへん有効である.

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2006.8.17
   磁石に近づけると電気が流れる 〜 超巨大磁気抵抗効果の新たなしくみ 〜



ハードディスクの大容量化・小型化に大きな役割を果たしてきた「巨大磁気抵抗効果」の謎に迫る放射光を用いた研究については、以前ご紹介しました。その不思議な性質をさらに超える「超巨大磁気抵抗効果」のしくみがフォトンファクトリーの放射光を使って明らかにされました。

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2006.7.25
   南極氷中のエアハイドレートの三次元的な可視化に初めて成功 − 過去数十万年の地球環境の変動をキャッチ −



南極氷中に形成されるエアハイドレートを新しく開発した低温測定用試料容器中で保持し、位相コントラストX線CTにより、高感度かつ非破壊的に三次元的に可視化することに成功しました。同時に、エアハイドレートの精密な密度測定が可能になった。過去数十万年の地球環境の変動を読み取ることが可能になるものと期待されます。

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2006.7.20
   世界一のフェノール合成触媒 〜 XAFSでみえたレニウムクラスター 〜



放射光を用いたXAFS(ザフス)という手法は、触媒がはたらくしくみを調べるのにぴったりの研究方法です。最近、東京大学のグループがフェノールという化学物質を合成する画期的な触媒を作り出しました。この新しい触媒が高い活性を示すしくみが、KEKフォトンファクトリーの放射光を用いて明らかになりました。

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2006.6.29
   X線の位相でみる生体組織 〜 大視野化したX線位相コントラスト法 〜



筑波大学人間総合科学研究科武田徹講師の研究グループは、日立製作所、アステラス製薬、KEKと共同で、疾患モデル動物のがんやアルツハイマー脳を無造影で三次元観察することに成功しました。観察にはPFのウィグラー放射光を用い、従来のX線撮影法より千倍高感度なX線CT技術を適用しました。

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2006.6.19
   KEK公開講演会「KEKが切り拓く知の地平」を開催



6月18日に東京大学安田記念講堂において、公開講演会「KEKが切り拓く知の地平」が開催されました。

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2006.6.16
   第17回KEK・総研大夏期実習(6/13〜6/15開催)に100人の実習生が参加



KEKでは毎年夏のこの時期に、学部高学年の学生などを対象とした総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科の夏期実習が行われます。今年は6月13−15日の3日間で行われ、100人が参加しました。

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2006.6.15

   久保田正人氏(放射光科学第一研究系)らの論文がJSPJ誌Editors' Choiceに選出




日本物理学会が発行する月刊英字物理学誌 "Journal of the Physical Society of Japan(JPSJ)" は毎号 "Papers of Editors' Choice" を選び、JPSJ編集委員会が注目する推薦論文として紹介していますが、5月号では放射光科学研究系の久保田正人氏を含む研究グループの論文 "X-ray Optical Activity in Underdoped Bi-Based High-Tc Superconductor"が、Editors' Choiceに選出されました。

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2006.6.15
   リチウムは合金のかくし味? 〜 コンプトン散乱で見る「多体相関」 〜



金属はわたしたちの生活になくてはならないものです。金属といってもいろいろな種類があり、それぞれ性質も違うことは日常生活の中でもお気づきでしょう。この性質の違いは、金属の中の電子の運動の様子の違いによって生じます。

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2006.6.12
   千倍高感度なX線CTにより疾患モデル動物のがんやアルツハイマー脳の観察に成功



KEKは筑波大学、(株)日立製作所、アステラス製薬(株)と共同で、疾患モデル動物のがんやアルツハイマー脳を無造影で三次元観察することに成功しました。観察にはKEKのウィグラー放射光を用い、従来のX線撮影法より千倍高感度なX線CT技術を適用しました。

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2006.5.25
   放射光の特性を活かし擬一次元金属の電子状態を直接観測



PFの若林裕助助手を中心とする研究グループは、擬一次元金属物質の電子状態を直接観測することに成功しました。

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2006.3.9
   植物で土壌をきれいに 〜 ヒ素を蓄積するしくみに光をあてる 〜



重金属で汚染された土壌をきれいにする植物の話です。この植物が土の中の重金属を取り込むしくみが、フォトンファクトリーで植物を生きたまま測定することによってだんだんわかってきました。

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2006.2.24
   ふたつのユビキチンと両面で結合 〜 アミノ酸配列の繰り返し構造 〜



細胞の外と中の物質のやり取りにかかわるタンパク質を紹介します。このタンパク質は、ユビキチンという小さなタンパク質をめじるしとして、リサイクルすべきものと、分解されるべきものの「分別」を行っています。フォトンファクトリーで明らかになった立体構造から、めじるしを識別する仕組みが明らかになりました。

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2006.2.16
   糖鎖で積み荷を仕分ける 〜 糖鎖認識型運び屋タンパク質 〜



生命の最小の単位である細胞では、生命を担うさまざまな活動が行なわれています。このニュースでは、細胞の中で物質を輸送する働きにかかわる「運び屋タンパク質」のお話を何回か取りあげました。今日のニュースの主役もそうした運び屋タンパク質のひとつです。このタンパク質は積み荷タンパク質の「糖鎖」と呼ばれる部分を荷札として認識するのですが、フォトンファクトリーで明らかになった立体構造から、どうやって積み荷を選別するのかが少しずつわかりつつあります。

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2006.1.26
   加熱中の材料の構造を実況中継 〜 高温放射光粉末回折システム 〜



フォトンファクトリーで最近開発された、加熱した状態で材料の原子配列や電子状態を調べる、「高温放射光粉末回折システム」についてご紹介します。

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