ビームラインの再編・統廃合について12

2014年3月14日


ビームライン再編・統廃合の現状についてお知らせします。最新の状況は各実験ステーションの名前のところからリンクされている紹介ページをご参照ください。

1.BL-2A,B

 BL-2はタンデム配置の2台のアンジュレータと斜入射分光器および二結晶分光器を用いて、同一のポートでBL-2Aでは30-2000eV程度、BL-2Bでは30-4000eV程度の単色光を供給できるような高輝度ビームラインとして日立製作所と共同で整備を進めています。2014年2-3月に真空紫外領域をカバーするアンジュレータの追加設置および既存の軟X線領域アンジュレータの下流への移設を行った上で、2014年度第1期より全エネルギー領域での立ち上げ・調整を開始する予定です。これにより、戦略元素群の研究に必要なエネルギー領域をカバーし、表面・界面物性、機能性材料、環境材料などの評価・開発研究を推進する予定です。

2.BL-4A

 BL-4AではX線領域の単色放射光を用いた、集光ビームによる放射光蛍光X線分析(SXRF)を二結晶分光器および複多層膜分光器を用いて行ってきました。昨年4月のお知らせ「BL-4Aの今後の運用変更について」に記した通り、複多層膜分光器を用いた実験は2013年度末をもって停止となり、今後新たな応募は受け付けません。
 一方で二結晶分光器とKirkpatrick-Baez型集光光学系を用いたマイクロビーム実験およびポリキャピラリー集光素子を用いた集光ビーム利用実験は引き続き実施することができます。2014年4月からはマイクロビームX線分析応用ユーザーグループによるユーザー運営ステーションとして運用します。

3.BL-6C

 BL-6Cは、ミラーの設置位置が実験ハッチ直上流であったため、これまでは13keV程度までのX線集光ビームしか実験に利用することができませんでした。しかし、集光ミラーの設置場所を上流に移設することにより、18keV程度の高エネルギーX線においても実験ハッチ内に集光可能となる改造を行いました。昨年夏にまず分光器だけを上流に移設し、2014年2月末のシャットダウン時にミラーを上流に移設し、3月中にはすべての作業を完了する予定で改造を進めています。5月のマシンタイムでは、初めの1週間をミラー調整に使用し、高エネルギーX線の集光を実現する予定です。立ち上げマシンタイム以降は18keV程度までの集光X線を利用できる環境で共同利用実験を進めます。

4.BL-10C

 BL-10Cは、主に溶液試料によるX線小角散乱ビームラインとして整備されてきましたが、2014年3-4月に現在のビームラインを一度解体し、新たな光学系と実験系により再構築を行っています。分光器は定位置出射型のSi二結晶分光器を導入し、6-14keVの範囲でエネルギーを変更可能となります。集光は、これまで同様に2次元集光を行う振上型トロイダルミラーで行いますが、新調したミラーを現在より下流側に設置し、集光率を上げることで高輝度化を達成します。さらに、実験定盤を他の小角ビームラインBL-6A, 15A2同様の半自動カメラ長変更タイプに置き換え、最大カメラ長も2mから3mに拡張します。検出器に関しては、小角用としてPILATUS3 2M、高角用としてPILATUS3 200K(いずれもDectris社製)を導入し、これまで同様の大面積を維持しながら時分割測定に対応し、小角・高角散乱同時測定も可能となります。5月の運転開始後に調整を行い、5月最終週よりユーザー利用を再開する予定です。

5.BL-11A

 主に、高エネルギー領域(1〜2keV)の増強とビームの安定化を目指して、光学系の大部分を更新する作業を進めています。2014年5月から光学調整を行い、できる限り早期に共同利用実験を再開する予定です。

6.BL-13A,B

 BL-13は、角度分解真空紫外光電子分光、高分解能内殻光電子分光、高分解能軟X線吸収分光を駆使して、有機薄膜・分子吸着系の表面科学、有機デバイス科学、触媒化学等に関する研究を行うために整備を行ってきました。2013年6月に光電子分光器用光学系(BL-13B)の整備が終了し、7月に光電子分光装置を移設して、10月から共同利用を開始しました。またBL-13では2014年夏のシャットダウン中に50-2000eVのエネルギー領域をカバーする可変偏光アンジュレータを設置し、調整が終わり次第ユーザーに公開する予定です。

7.BL-15A

 BL-15Aは短周期アンジュレータを光源とする高輝度ビームラインとして,2013年春に旧ビームラインの撤去,設備関係の整備を行い,2013年夏期シャットダウン中にビームラインコンポーネントの設置作業を行いました。BL-15Aでは,高分子フィルムや生体膜などの多様な膜構造,天然物や工業材料など不均一な分布をもった物質構造を複合解析手法(SAXSやXAFS/XRFなど)により解明する研究を推進する予定です。2013年10月にファーストビームを導入し,その後,初段ミラーシステム,液体窒素冷却二結晶分光器,各実験装置等の立ち上げを進めています。2月19日までにA2ハッチまでの光導入試験を完了し、各ステーションで簡単な評価実験を実施しました。現在、これまでの問題点の修正作業を行っており、5月からのビームタイムで光学素子の最終調整、各ステーションでのコミッショニング実験を実施する予定です。

8.BL-17A

 2015年(来年)3月の休止期間中に、X線ビームの更なる微小集光化と回折計の改造、ピクセルアレイ型検出器の導入を行います。幅広い波長領域で10um角程度の微小集光ビームを用いた実験が行えるほか、結晶化プレートを含めた非凍結試料からの回折データセット収集などが行えるよう整備します。2015年5月には共同利用実験を再開させる予定です。

9.BL-18A, BL-19A

 東京大学物性研究所により運用されてきましたが、2014年2月末で共同利用実験を停止しました。

10.BL-18B

 インドのSaha Institute of Nuclear Physicsによって運用されていますが、2014年度から一般課題の実験も実施できるようになります。現在有効な実験課題の課題責任者の方で、実験を希望される場合はステーション担当者にご連絡ください。今度の共同利用実験課題募集(2014年5月中旬締切予定)から課題申請システムによる課題申請も可能となります。

11.BL-20B

 2013年11月よりX線トポグラフィおよび関連するX線回折実験専用ビームラインとして共同利用を開始しました。モノクロメータ交換,γ線安全対策強化およびビームライン制御系更新を実施したうえで旧オーストラリアビームラインを再利用しています。2013年度は単色X線利用に限定していましたが2014年5月から白色X線も利用できるように準備中です。水平ビーム幅が設計値(2mrad)より狭いことが明らかになっており(約1.4mrad),現在原因を調査中です。実験装置は旧BL-15Bの白色X線トポグフィ用ゴニオメーターおよび旧BL-15Cの精密X線トポグラフィ用ゴニオメーターを移設し利用可能です。BL制御系は旧BL-15Cと同様の制御ソフトを導入しています。

12.BL-28A

 BL-28Aは高性能角度分解光電子分光ステーションとして、強相関物質の3次元フェルミオロジー、軌道選択的バンド構造決定、ディラック電子系やトポロジカル絶縁体の探索などの研究を推進するために整備してきました。2014年夏のシャットダウン中に1次光で30-300 eVをカバーする可変偏光アンジュレータを設置する予定です。

 



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2008年 4月 お知らせ 5   2007年 9月 お知らせ 4

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2005年 6月 お知らせ 1